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■保険システムよもやまばなし 

第16回: 「ビジネスに資するシステム利活用(5)」

  新元号「令和」が発表されました。桜咲き誇る4月1日のことでしたし、明るい、新しい時代がやってくることを期待したいと思います。

 さて、システム関連プロジェクトを炎上プロジェクト・デスマーチにしないための勘所をお伝えしていますが、そういった中にあって、またぞろシステム開発関連訴訟が騒がれています。「システム開発巡り16億円賠償命令」
や「127億円の賠償求めるシステム裁判」、いずれもこの三月のニュースで伝えられたものです。因みに、127億円と言う額は、これまでのシステム開発関連損害賠償請求額で最高の額です。

 IT技術進化、ビジネスのIT依存度の高まりに伴い、システム関連に係る訴訟・調停も大小関わらず、相当な件数、発生しているようです。システム開発契約において、「納品が出来ない・遅れた」や、「システム完成・稼働後の不具合(バグ、仕様相異、レスポンスが遅い等)」等を主な原因として、発注者(ユーザー)・受注者(ベンダー)間でもめ始め、紛争・争議、訴訟へとヒートアップしていきます。対象は、「開発委託料、ハードウェア・ソフトウェア購入費用、開発失敗により発生した費用(含む、機会損失)」等であり、ベンダーの債務不履行責任とユーザーの報酬支払義務について、両当事者の責任(帰責事由)の有無を問うことになります。争点はシステムのプロジェクト・マネジメント義務や協力義務、瑕疵担保責任になっていきます。

 システム開発案件においては、一般的に共同作業的観点から、ベンダーはシステム開発案件に係る「プロジェクト・マネジメント義務」として、システム開発作業を適切に進めるとともに、専門的な知識を有しないユーザーが適切にプロジェクトに関与するように働きかける義務を負っているとされ、一方、ユーザーはベンダーの働きかけに応じて適時に仕様の決定等を行うとともに、資料等の提供その他の必要な協力を行うべき協力義務を負っている
とされており、両当事者の責任(帰責事由)の有無については、この役割分担をベースに確認・判断がなされていきます。

 IT関連訴訟、このように淡々と説明していると、スーッと読めてしまうと思いますが、いざこの当事者となると、それは大変です。自分の正当性をを主張し、先方を誹謗中傷する的な時間に追われ、建設的なことは何もないような日々を過ごすことになってしまいます。解決までの時間もかかりますし、それなりのコストも費やします。まさに、炎上プロジェクト。

 こう言った事態を生じさせないように、これまでの「よもやま話」で、「計画」・「調達」局面における、「したいことの明確化」(RFP作成)と「適切なパートナー・ソリューション選定と契約」(提案書をどう読み解き・評価していくか!)の重要性についてお伝えしてきましたが、その次の「開発」局面における、プロジェクトの進捗状況確認評価や機能・品質確認評価も極めて重要なテーマです。多くの場合、ベンダーの提案書の中に進捗管理や品質管理についての記載がありますので、その内容を理解し確実に実行することが重要です。システム開発はユーザーとベンダーでの共同作業であることを認識したうえで、それぞれの役割を確実に果たすこと。ポイントは、要件定義と変更管理、そしてユーザー検証(テスト)であり、何と言ってもユーザー・ベンダー間のコミュニケーション、信頼関係と相互理解に尽きると思います。ベンダーはこれまでの経験・実績に基づき、進捗管理や品質管理に係る方法論(メソドロジー)を有しており、それを踏まえた提案になっていると思いますので、提案内容に沿った共同作業を双方で確実に行っていくこと、その状況を確認することに真正面から向き合って頂ければと思います。くれぐれも、ベンダー依存・丸投げ状態にはしないように、ならないように!

K System Planning
島田洋之