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■保険システムよもやまばなし 


第17回: 「ビジネスに資するシステム利活用(6)」

  令和元年! 10連休を経て、「令和」が幕を開けました。平和で、明るく・元気な時代であってほしいと、切に願っています。

 さて、この新しい時代、特筆すべき一つにAIや5G等、IT技術進化が挙げられます。AI・5G等の技術進化・環境整備は、自動運転車等を実現させ、便利な時代になっていくと思いますが、その一方で日常生活のIT依存度は、ますます高まり、新たなリスクも生じさせます。

 連休明けの令和、早速その兆候のような洗礼を受けました。楽天銀行を筆頭に、ゆうちょ銀行、みずほ銀行でネットバンキングが利用出来ない事態が発生。日本航空(JAL)では、国内線搭乗手続きに混乱が!

 また、いくつかの自治体では、元号変更(「平成」⇒「令和」)に伴う正しい手続きが行われなかった事態も発生しました。TVニュースや新聞紙上でも取り上げられましたので、皆さんもご存知のことと思います。

 これらは、いずれもITに起因して生じたもの。連休明けに一斉に利用したり(アクセスの集中)、元号変更への適切な対応・確認を十分行わなかったことにより生じたシステム障害でした。「元号変更に伴う大きなシステム障害は無かった」との政府見解でしたが、細かな障害でも生活に影響を及ぼすような事態がいくつか生じたようです。まぁ、このレベルで終わったことに感謝すべきなのかもしれません。

 しかし、このような事態が開発・導入したばかりのシステムに生じたらどうでしょう? まさに前回お伝えした、「システム完成・稼働後の不具合(バグ、仕様相異、レスポンスが遅い等)」の事態です。お金をかけ、時間もか
けたシステム、このような事態に直面したら、冷静に振舞うのは難しい状況になります。特に、ビジネスのIT依存度が高い状態になると、システムの不具合・障害が大きなビジネスリスクになりかねません。システムの安定稼働や品質が、極めて重要になってきます。

 一方、過度に安定稼働・品質を追い求めていくと、すぐにコストに跳ね返っていきます。例えば、安定稼働に向けて、ある程度のアクセス集中(ピーク性)を考慮して、それに耐えうるだけの機器性能を確保しておく必要はあると思いますが、度を越したアクセス集中まで対応するとなると、コストは大変です。また、システムに組み込む処理プロセスやロジックについて、正しく機能するかの確認・検証は重要ですが、めったに生じないような例外的なケースまでを想定していると、組み込むことにも、確認・検証にも時間・コストが必要になっていきます。こう言った過剰な性能や品質にならないように、合理的に適切に割り切りながら対応していくことが求められます。しかしながら、こう言った割り切りをシステム部門が行うことはなかなか難しく、ここは経営の責任と権限で的確・適切に判断・決定していくべき事項、経営が力を発揮すべき事項と思われます。ポイントは、システムには何かが起きる!と言う前提で、その際の影響を最小限にコントロールできるような、リスクベースの考え方に基づくことにあります。システムに係る知識・経験はそれほど求められるものではありません。

 システム開発局面において、正しい情報に基づいてリスクベースの合理的割り切りが適切・的確になされていくと、円滑かつ効率的なシステム開発を促し、開発期間やコストのコントロールも組織として関与・対応していけることが可能になってきます。未だに、「システムのことは良く分からなくて」とおっしゃる経営者は少なくないと思いますが、ビジネスのIT依存度がますます高まっていく令和の時代を戦い抜いていくためにも、ITに真正面から向き合ってみるのは如何でしょうか? 

K System Planning
島田洋之