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■保険システムよもやまばなし 

第18回: 「ビジネスに資するシステム利活用(7)」
 
  5月に夏日!ヘンな天候に始まった令和元年も一か月経過。6月になって、ほぼ平年通りに梅雨入りし、これから約一か月半、鬱陶しい季節が続きますが、これを乗り越えて、元気に夏を迎えたいものです。
 
 さて、「ビジネスに資するシステム利活用」のテーマも第七話。これまで、【計画】、【調達】、【開発】の各局面における、留意事項をお伝えしてきており、前回は【開発】局面における、正しい情報に基づくリスクベースの「合理的割り切り」の重要性、特に経営陣の関与の重要性についてお伝えしました。
 
 この正しい情報に基づくリスクベースの「合理的割り切り」は、システムの過剰性能や品質を抑制し、開発期間やコストコントロールに大きな効果を発揮するものと思われますが、この「合理的割り切り」 ⇒ 英断が、なかな
か難しいようです。そこには、日本の「品質」・「きめ細かさ」・「痒いところに手が届く」を重視する社会常識や文化が、「石橋を叩き壊して進まない」事態は許容しても、「まず始めてみる」・「とりあえず動かす」・「動かしながら良くしていく」・「小さく生んで大きく育てる」と言った失敗すれば責任を問われかねない発想・決断を限りなく回避・敬遠させているからだと思われます。

 この結果、リスク回避最優先に実績ある大手ITベンダーに任せれば上手くやってくれる的な幻想がまかり通ったり、古い開発手法と多重下請け構造・屋上屋を架すような管理による間接工数・コストを許容する事態を生じさ
せ、「合理的割り切り」ベースでのパッケージの活用や、プロトタイピング・アジャイルと言った最新の情報技術の活用がなかなか進んでいかない事態を招いています。

 経営陣は、こういった事態を正しく認識・理解して、システム活用の各局面(【計画】、【調達】、【開発】)で、適切・的確な「合理的割り切り」の英断をしていくことが求められる時代になって来ています。そのことを十
分理解すべきです。是非、各局面への経営陣としての参画を意識して頂ければと思います。 

 さて、【計画】、【調達】、【開発】の局面が終わると、システムが形作られ、いよいよシステムの導入・稼働局面に入ります。システム開発にあたっては、多くの場合「業務請負」の形態での契約になっていると思われます
ので、受託会社の作成した成果物(システム)の評価・検収が、この局面の最重要課題になります。契約時に定めている条件(品質やドキュメント内容等)に合致しているか、また、要請した機能の充足度や正確性について確認
していきます。
 
 開発局面において、委託者・受託者の共同作業との認識の下、それぞれの役割を確実に果たしていれば、当初設定の検収基準に沿って粛々と評価・確認作業を行っていくことになりますが、ベンダーへの依存度が高かったり、
丸投げ状態にしていると、検収局面での、求めている機能の網羅性確認やレスポンス、使い勝手、セキュリティ対策等の評価・確認は容易ではありません。機能の充足性や正確性評価・確認も大変ですし、特に、システムの不具合に対する、「債務不履行」/「瑕疵」の評価など難しい限りで、時間的制約もあって、自動的検収になってしまうことが多いと思われます。委託者・受託者合意の下で、「通常業務に一応使える」 程度に出来上がっていることを前提に、後は両社の信頼関係の下で、適宜バグ対応や保守(機能追加)にて継続的に対応していくケースも多いようです。ここいらは、両社の関係や、会社としての考え方によりますので、この場で何が正解とするのかの結論付けは避けたいと思います。
 
 成果物に対する、適切な評価・検収が終了したら、いよいよシステムの稼働です。旧システムからのデータの移行等確実に行われたのか、利用者の研修等十分行われたのかを確認して、新システム開始可否判断を行っていきます。この最終判断を行うのは、もちろん経営陣の責務です。ここでも、正しい情報に基づくリスクベースの「合理的割り切り」が求められてきます。
 
 これで、祝!新システム稼働開始!!になります。サービスイン、リリース、カットオーバー、ローンチと言った言葉が使われることもあります。ホント、システムの世界の言葉は難しい・・・と思います。
 
 これまで、システム活用に向けた各局面の留意事項として、次のような点について伝えて参りました。
 【計画時】
  ①「明確な目標」・「組織一体での取組」
  ②「現行業務処理・現行システムの明確化」
 【調達時】
  ①「したいことの明確化」:RFP(提案依頼書)作成
  ②「適切なパートナー・ソリューション選定と契約」
 【開発時】
  ①「適切な要件定義・確定」
  ②「適切なプロジェクト管理」
 【導入・稼働時】
  ①「適切な評価・検収」
  ②「適切な移行・研修」
 
 その中で、経営陣の積極的関与、責務等についても、触れてきました。ビジネスに資するシステム利活用を実現するにあたっての、経営陣の役割、責務は、これだけではありません。次回以降、経営陣が関与すべきシステム関連事項について、代理店経営陣が意識すべき「ITガバナンス」のテーマでお伝えしていければと思います。 

K System Planning
島田洋之