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■保険システムよもやまばなし 

第28回:「最近のIT動向(5)」

新型コロナウィルス感染、留まるところ知らずの勢いです。世界各国において緊急事態宣言が発せられ、ついに日本においても首都圏を中心に緊急事態宣言が発せられる事態になりました。今は、コロナ感染拡大抑止のために、感染しない、感染媒体にならないよう、三密を避ける、移動動線も最小限にする等個人として今出来ること、すべきことを心がけています。この事態が、少しでも早く収束することを、ただただ祈るばかりです。

  さて、保険システムよもやまばなし「最近のIT動向」では、損害保険に係るシステム動向の理解を深めようと、①基幹系、②代理店、③契約者向け、④その他 の観点から各社の取組状況を見ていこうとしており、前回は、基幹系システム、そして今回は代理店向けのシステムにスポットを当てたいと思います。

「②代理店システム」(保険会社提供)
保険会社が提供する代理店システムについて触れていきます。このシステムの対象としているのは、「保険料計算、申込書作成、契約計上、保険料精算」といった保険契約締結に係る機能や、「契約内容照会、満期管理」といった契約管理に係る機能、保険会社・代理店間の情報伝達共有機能、代理店業務支援機能等で、保険会社・代理店一体とした業務効率化・合理化、売上向上を目指す仕組みとなっています。最近は、お客さまとの関係強化や売上促進、業務管理に係る機能強化が進められています。

●進化する技術とシステムの歴史
代理店システムは、今から40年ほど前にオフラインの保険料計算機能から始まり、パソコン機器の普及、性能向上と共に機能の充実が図られていきました。さらに、ネットワーク環境の整備に伴い代理店システムのオンライン化が進み、特に、インタネット技術(WEB技術)進化・普及に伴ない、損害保険会社基幹系システムのWEB化、代理店システムとの一体化が進んでいきました。
現在では、代理店・保険会社業務のシームレス連携、業務プロセス一体化による業務効率化・迅速化に欠かすことのできないツールになっています。代表的な代理店システムは、Tnet(東海)、MS1(MS&AD)、SJNK-NET(SOMPO)であり、提供される基本的なシステム機能に大きな違いはないようですが、各社の商品や業務プロセス、基幹系システムの制約等により使い勝手に若干の差が生じているようです。損害保険各社は代理店システムを業務効率化・事業費削減、代理店との関係強化の有効なツールとして位置付けており、他社との競争力強
化の観点から、最新IT技術を活用しながら、使い勝手や機能向上に取組んでいます。

例えば、「モバイルTNet」。既に旧聞に属する話になりますが、保険業務の品質向上と業務効率化を目的として提供されていたTnet(東海)に対して、スマホを活用した代理店営業活動支援機能として追加(2017年)されたものです。これにより、顧客対応履歴記録や行動予定等の情報活用を可能とし、営業活動の高度化・体制強化を目指す代理店とって有効なツールとして活用されています。
最近では、MS&ADの「MS1 Brain」。AIを活用した新たな代理店システム!との触れ込みで、2020年2月に提供が開始されました。「顧客本位の業務運営」、「お客さま体験価値向上」を実現するツールとして、ビッグデータ・AIと言った最新の技術を活用して、お客さまニーズを的確に把握し、最適な商品・サービスの提供の実現に向けて、「お客さまニーズ予測分析」、「代理店(募集人)工程管理」、「お客さまカルテ」、「代理店経営サポート」等の機能が提供されています。このような先進デジタル技術を活用したツールを各代理店が使いこなして、代理店の活動品質やガバナンスが一層強化され、高品質なお客さまサービスの実現がなされることを期待したいと思います。
 
●代理店システム新たな進化
今後も、代理店システムへの先進デジタル技術の活用は、さらに進んでいくと思われます。SOMPOでは代理店システムの柔軟性・拡張性を確保するためにシステム基盤の刷新を行ったとしています。今後は、刷新後のシステム基盤を活用したスピード感ある取り組みで顧客との繋がりに焦点を当てた新しい機能の提供が期待されるところです。また、東海においても最新のテクノロジーを活用して、代理店の付加価値高い提案や業務効率化を支える仕組みを実現するために、代理店システムの大幅なリニューアルに着手し、2020年より順次機能を提供していくとしています。これにより、代理店が従来から持っている「お客様とのリアルな接点」という強みを活かし、お客様の満足度を高め、会社と代理店が共にお客様から選ばれ続けることを目指すとしています。
これからしばらくは、各社の代理店システムの刷新・強化が予定されており、そのいずれにおいても「お客さまとの繋がり」がキーワードになっているようです。どのようなシステムの提供が行われていくのか、どう活用されていくのか、それにより、どのような変革が起きてくるのか、目を離すことのできない年になりそうです。次回は、最近よく使われる「お客さま体験価値」を意識しながら契約者向けのシステムについてお伝えしたいと思います。

K System Planning
島田洋之