​Column Back number

保険の虫眼鏡(第1回)

 

連続地震における地震保険の適用

 

熊本を中心に大きな地震が起こった。しかも、その後の余震が凄まじい。最初に起きた震度7の「前震」以降の一週間で、さらに大きい「本震」を含めて774回もの余震があり、この数は、阪神淡路大震災の4倍に及ぶ。

 今回の地震の正式名称はまだ定まっておらず、現状では「熊本地震」と称されている。これほど多くの地震が連続的に発生すると、「群発地震」という言葉を思い出すが、「群発地震」には定義がある。ブリタニカ国際大百科事典によれば、「狭い地域で地震が一定期間に集中して発生し,その群れのなかにきわだって大きな地震がない状態。本震と余震の区別がなく,長いものは数年間に及ぶ。地震の規模は小さく,通常マグニチュード5程度以下」というのが定義であるから、「熊本地震」は「群発地震」には該当しない。だからこそ、多くの専門家がこの地震への大きな戸惑いを感じるのであろう。

 ところで、こうした激しく揺れ続ける地震について、地震保険はどのように損害査定をするのであろうか。例えば、ある家が最初の地震で一部損を被り、その後の地震で半損になり、そして最後には全損になったというようなケースである。地震保険では約款上、「72時間以内に生じた2以上の地震等は、これらを一括して1回の地震等とみなします(地震保険標準保険約款第8条)」との規定がある。東日本大震災においては、3月11日の地震の後、4月にも大きな地震があったが、これは別の地震に該当するとして保険が適用されている。

 しかし、「熊本地震」の場合は、途切れることなく地震が連続的に発生している。このような場合、72時間ごとに一回の地震とみなすのか、それぞれの地震は72時間を経ることなく連続しているので全体として一回の地震とみなすのか、あまりにも特殊な地震であるがゆえに、最終的に約款解釈がどのようになされるのか気になるところである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史