​Column Back number

保険の虫眼鏡(第11回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その1)

 

 「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」という観点で、重要なポイントを数回に分けて記してみたい。金融庁は定期の人事異動を経て新体制になっており、改正保険業法の施行を踏まえた動きを既に開始している。「まだ施行されたばかりだから、すぐに動くことはないだろう」とか「当面はお手柔らかに」といった安易な見方は即刻捨て去るべきであろう。

 

 代理店としての対応を考える場合、以下に留意することが必要である。

第一に、専属(比較推奨販売を行わない乗合代理店を含む)か比較推奨販売を行う乗合代理店かで、体制整備義務に大きな違いがあることである。専属の場合には、引き続き保険会社による代理店への監督が中心になる一方で、比較推奨販売を行う乗合代理店の場合は、「規模の大きい特定保険募集人」であるかどうかに拘らず金融庁による直接の監督を意識した対応が必要になる。

 

 第二に、「苦情」の扱いである。消費者からの苦情が保険会社等を経由して金融庁に届き、それが保険業法に定める募集人の義務違反に該当する場合は、しかるべき覚悟が必要になる。なぜなら、数多く存在する代理店の中で自社にスポットライトが当たったことになるからである。だからといって「苦情」を隠ぺいするなら、それがどれだけの悪影響を引き起こすかは、今の時代、多くの事例が端的に示している。「苦情」の定義は「顧客による不満足の表明」である。これを真摯に踏まえ、絶対に「隠ぺい」することなく、むしろ「掘り起し」に努めることが、今回の法改正における「顧客サポート等管理態勢」の下での代理店経営者の義務である。

 

 第三に、「規模の大きい特定保険募集人」に該当する可能性がある場合、時間軸を置いた対応という点に留意してもよいかもしれない。多くの代理店が3月末決算であろう。法施行は5月29日であるから、「規模の大きい特定保険募集人」に該当するかどうかの判定は、2017年3月末時点での決算内容によってなされる。該当する場合は、翌日の4月1日以降、帳簿書類の備付等必要な対応を開始し、2018年3月末時点での事業報告書を作成し、これを6月末までに財務局に提出することになる。最初の提出までには、一定の時間が残されている。「規模の大きい特定保険募集人」は、比較推奨販売を行う乗合代理店である場合、保険仲立人(保険ブローカー)と同様、金融庁の直接監督下に置かれると認識することが必要である。しかし、それは、最初の事業報告書を提出して以降と考えてよいのではないだろうか。しかし、このことを「義務の免除」のように捉えることが大きな誤りであることはいうまでもない。

 

 以上の三点を認識した上で、次回以降、対応に関する具体的な内容を記すことにしたい。

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史