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保険の虫眼鏡(第12回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その2)

 

 「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの2回目である。前々回に金融庁が改正保険業法の施行とともに適用している「保険検査マニュアル」のさわりの部分を取り上げた。代理店として認識しなければならないポイントは二つある。

 

第一に、従来の「保険会社における保険募集管理態勢」という部分が「保険会社及び保険募集人における保険募集管理態勢」となり、代理店が保険検査マニュアル上の検査の対象となったことである。

第二に、「適正な募集管理」において「特に、乗換契約(他社からの乗換契約を含む)・転換契約、キャンペーン、高齢者に対する募集など、通常の募集以上に注意を要する募集について、適切な募集が行われるための態勢が整備されているか。」という文章が追加されたことである。

 

 今回は、この中で、「乗換契約」を取り上げる。保険業法第300条(保険契約の締結等に関する禁止行為)第1項第4号は「保険契約者又は被保険者に対して、不利益となるべき事実を告げずに、既に成立している保険契約を消滅させて新たな保険契約の申込みをさせ、又は新たな保険契約の申込みをさせて既に成立している保険契約を消滅させる行為」を禁止しているが、これが「乗換契約」に関する規定である。

もちろん、「乗換契約」がすべて禁止されているわけではない。不適切なものについて禁止するのがこの規定の主旨である。金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」(Ⅱ-4-2-2(7))では「不利益となるべき事実」について、「一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として保険契約者が負担することとなる場合があること、特別配当請求権その他の一定期間の契約継続を条件に発生する配当に係る請求権を失うこととなる場合があること、被保険者の健康状態の悪化等のため新たな保険契約を締結できないこととなる場合があることなど」を例として挙げている。

 そして、今回の法改正によって「意向把握義務」が法定され、中でも比較推奨販売を行う乗合代理店には重い義務が課せられることになった。当然のことではあるが、「乗換契約」を重点的に検査する場合、これらの義務が履行されているかどうかは重要なチェックポイントになるであろう。

 

 もう一つ、忘れてならないのは、仮にある代理店に検査が入った場合、検査官は「乗換契約のリスト」を要求するであろうことである。検査マニュアルにおいて「重点的に検査する」とされているにも拘らず「リスト」がないということになれば、どのような事態になるか容易に想像できるであろう。検査以前の問題として、「乗換契約に関する日常的な管理態勢にそもそも問題あり」という烙印を押されることになる。

個別の契約ごとに、証跡保存の一環として「乗換契約」であるかどうか、乗換契約である場合には「不適切な乗換契約」に該当することはないかをチェックする態勢を講じる必要がある。そして、さらに、システム活用などの対応により「リスト」が定期的に作成され、経営においてもしっかりとした管理が行われる態勢が求められる。

金融庁(財務局)による検査の際には、「経営としていつもチェックしているリスト」を提出し、検査官はその中からサンプリングで個別契約をチェックするという形が当たり前のこととしてできていなければならないといってよいのである。

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史