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保険の虫眼鏡(第13回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その3)

 

 「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの3回目である。前回、「保険検査マニュアル」の中で「特に、」という形で重点的な検査の対象とされた項目のうち、乗換契約に関して対応のポイントを述べた。

再度、「保険検査マニュアル(適正な募集管理)」における該当部分を引用する。「特に、乗換契約(他社からの乗換契約を含む)・転換契約、キャンペーン、高齢者に対する募集など、通常の募集以上に注意を要する募集について、適切な募集が行われるための態勢が整備されているか。」という内容である。

 

今回は、キャンペーンを取り上げよう。これまで、保険会社の営業推進においてキャンペーンは常に柱の一つに位置付けられてきた。キャンペーンには大きく二つのカテゴリーがある。一つは、保険会社が新商品を発売した時に行うもの、また、同業者との競争上の必要から例えば自動車保険など特定の保険商品に絞って行うものである。もう一つは、「保険の月」のように特に保険商品を絞り込むことなく全体としての売り上げを伸ばすために行うものである。

 

こうしたキャンペーンは保険会社の掛け声の下で、それに参加する代理店によって担われる。かつては、その過程で何か問題が生じてもすべては保険会社の責任ということで済ませることができた。しかし、新しい保険募集ルールの下ではそうはいかない。義務の法定によって、法律上、代理店が募集における主役になったからだ。

 

もはや、キャンペーンが持つ問題点は指摘するまでもないであろう。第一の特定の保険商品のキャンペーンの場合、それに参加した期間、当該商品が大いに売れたというのは保険会社と代理店にはよいことでも、金融庁の検査官の目には決してそうは映らない。「顧客の意向把握は十分に行われただろうか」という点に着目して、キャンペーン期間中の契約リストを下に重点的なサンプル・チェックを行うだろう。キャンペーン商品が一時的に大量に販売された場合、それは十分な意向把握がなされていないことの証拠とさえ見做されるかもしれない。

 

 ほけんの窓口の窪田泰彦社長は、「保険会社からこの商品を売ってくれというキャンペーンには参加しないそうだが」という質問に次のように答えている。

「保険会社から要請を受けた商品キャンペーンは一切やらない。キャンペーンに参加するということは、顧客の意向と関係なくその商品を売り込めということになり、わが社の方針と相いれない。新商品が出てきた時は、これまでの商品との違いは説明するが、加入の判断は顧客に任せる。」

 

 また、商品キャンペーンは問題あるとしても売り上げの増加を目指すものであれば問題がないという考え方があるかもしれない。しかし、これも実務を想定すれば容易に想像できるが、一人ひとりの募集人が「売り急ぐ」ことに伴う義務違反が生じないとはいえない。

パブコメ結果の363番に「1 回の保険募集により申込みまで至った場合も、当初の意向と最終の意向との相違の有無・相違している場合はその経緯を確認し、帳票を作成することが必要となるのか。」という質問がある。これに対する金融庁の回答は、「1回の保険募集で申込みまで至る場合も、(中略)適切な意向把握・確認を行う必要があります。」という簡単なものである。しかし、ここには「売り急ぎ」を問題視する金融庁のスタンスが表れているといえば深読みしすぎであろうか。

 

代理店への保険会社としての監督責任は引き続き保険業法に定められているものの、募集人の義務が法定された限り、キャンペーンにおける主体は、これまでのように保険会社ではなく代理店に移ったと覚悟することが必要なのである。これを前提にすれば、代理店としては、今後、どのような類のものであってもキャンペーンへの参加には慎重なスタンスが求められる。そして参加する場合には、検査への対応に留意することが必要なのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史