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保険の虫眼鏡(第14回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その4)

 

 「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの4回目である。今回は「保険検査マニュアル」の中で「通常の募集以上に注意を要する募集」として取り上げられている3つの項目(①乗換契約、②キャンペーン、③高齢者に対する募集)のうち「高齢者募集」について記してみたい。

 

保険検査マニュアルは、2016年5月29日の施行に合わせて改正され、以後、保険募集人についても検査の対象であることが明記された。これに付随して上記の「通常の募集以上に注意を要する募集」が追記されたが、他の2項目が新しい保険募集ルールを意識したものであるのに対し「高齢者募集」は保険業法の改正以前からの課題であることに留意しなければならない。

 

高齢者募集におけるルールを金融庁が明確化したのは2014年2月28日である。この日付の「保険会社向けの総合的な監督指針(以下「監督指針」という)」の改正において、「高齢者に対する保険募集に関する着眼点」が定められることになった。そして、これを受けて、日本損害保険協会は2014年6月30日に「高齢者に対する保険募集のガイドライン」を、生命保険協会は2014年11月21日に「高齢者向けの生命保険サービスに関するガイドライン」を定めている。

 

具体的な内容として、「監督指針(Ⅱ-4-4-1-1顧客保護を図るための留意点)」では、次のような点を定めている。

①社内規則等に高齢者の定義を規定すること(損保協会のガイドラインでは「70歳以上」を高齢者と定義している)。

②保険募集方法を以下のように具体的に定めて実行すること。

a.保険募集時に親族等の同席を求める。

b.保険募集時に複数の募集人による保険募集を行う。

c.複数回の保険募集機会を設ける。

d.保険募集を行った者以外の者が保険契約申込の受付後に高齢者へ電話等を行うことにより、高齢者の意向に沿った商品内容等であることを確認する。

③保険募集内容の記録(録音・報告書への記録等)・保存(例えば、当局の求めに応じて「高齢者契約一覧表」を提出することができるだろうか、また契約ごとに適切な募集が行われたかどうかに関するチェックが行われているだろうか。これらを考えるとシステム対応が必要になるであろう)

④契約締結後に契約内容に係るフォローアップを行うこと。

⑤これらの高齢者に対する保険募集に係る取組みについて、取組みの適切性等の検証等を行うこと(まさにPDCAを意識した内容になっている)。

 

高齢者募集に関するルールが定められたのは、改正保険業法施行の2年以上前である。そして、それが金融庁検査における重点3項目の一つに入っている。本来ならこのルールは代理店の業務の中に、既に定着していなければならないものである。今一度、定着度について代理店内部での検証が必要であろう。

 

そして、もう一つ。改正保険業法に代理店の体制整備義務が定められたことの意味を思い起こすことが必要である。法改正前であれば、高齢者募集に伴ってトラブルが生じたとしても、まずは保険会社の代理店指導が問題とされた。なぜなら、法改正までは体制整備義務は保険会社のみに課せられていたからである。代理店に体制整備義務が課せられたことによって、高齢者募集ルールは代理店への行政処分にも関わる最重要課題の一つになったのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史