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保険の虫眼鏡(第15回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その5)

 

「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの5回目である。今回は、少し前になるが2015年7月3日に公表された「金融モニタリングレポート」を見てみよう。これは、保険募集に関して2015年1月に行われた大手乗合代理店10社と代理店を主な販売チャネルとする生命保険会社10社に対する検査の結果をベースにまとめられたレポートである。

このレポートでは、以下の6項目に分けてまとめられており、ここから金融庁が特に注目している課題が読み取れる。

(ア)保険会社が定める募集ルール等の徹底

(イ)不適切な乗換募集の防止態勢

(ウ)顧客情報の管理

(エ)募集手数料等の状況

(オ)改正保険業法への対応

(カ)今後の課題

 

 今回は、この6項目のうち、「(ア)保険会社が定める募集ルール等の徹底」についてポイントを述べてみたい。

「保険会社が定める募集ルール等」の例として、「告知義務等の契約上重要な事項の説明方法、高齢者に対する商品説明の方法、顧客苦情の保険会社への報告方法など」が示されている。簡単にいえば「重要事項説明」「高齢者」「苦情」の3点である。「高齢者」に関しては前回述べたとおりである。

併せて、保険会社の代理店に対する訪問点検や改善指導上の問題点に関して言及があり、「苦情の発生状況や継続率(保険契約を締結した後、一定期間後に保険契約が有効に継続している割合)等の定量的な情報」を活用する必要性が指摘されている。

 

ここでも「苦情」が取り上げられていることに注目したい。金融庁は代理店の態勢整備におけるPDCAサイクルに関し、「苦情」が大きなエネルギーになると認識しているのである。これからは「苦情」についての発想を180度変えなければならない。「苦情」は少ない方がよいのではない。「苦情」の定義は広く、「顧客による不満足の表明」とされている。この定義に従えば、商品や保険料への不満、募集人の態度や口の利き方など非常に多くの「苦情」が該当する。誰が考えても「苦情」が少ないということはあり得ないはずである。

「苦情」対応に関しては、次のステップを踏むことが必要である。

①社員全員の意識改革を徹底し、一件でも多くの「苦情」を掘り起こすこと

②一つ一つの「苦情」に関し適切な対応を行い、記録に残すこと

③一定期間(例えば年に1回等)ごとに「苦情」の全体に関する分析を行い、その結果を業務の改善につなげること

「苦情」に関しては、件数の少なさよりも、一つ一つの「苦情」に適切な対応を行った上で記録し、経営的観点からの分析を行うことで、以降の代理店経営に生かすことこそが大切なのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史