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保険の虫眼鏡(第16回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その6)

 

「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの6回目である。今回も前回に続き、2015年7月3日に公表された「金融モニタリングレポート」を見てみよう。このレポートでは、金融庁が特に注目している課題を以下の6項目に分けてまとめている。

(ア)保険会社が定める募集ルール等の徹底

(イ)不適切な乗換募集の防止態勢

(ウ)顧客情報の管理

(エ)募集手数料等の状況

(オ)改正保険業法への対応

(カ)今後の課題

 

 今回は、この6項目のうち、「(オ)改正保険業法への対応」についてポイントを述べてみたい。本課題に関し、このレポートでは、①顧客意向の把握・確認義務履行確保のための態勢整備、②適切な比較推奨販売の実施に向けた取組、③内部監査等の態勢整備の3点が上げられている。

 保険業法改正の大きな柱は募集人一人ひとりの意向把握・確認義務の法定と比較推奨販売を行う乗合代理店への規制強化であるから、①と②が重点課題として取り上げられていることには納得感があるだろう。一方で、三つ目に「内部監査」が取り上げられていることをどう考えるべきであろうか。

 

改正保険業法に関する「パブリックコメント462番」は内部監査に関する次のような質問である。「保険募集人の規模が小さい場合、内部監査のみを行う人員を確保することが実務上困難なケースがある。監督指針Ⅱ-4-2-9 柱書の『監査等』は、必ずしも独立した内部監査部門による監査のみを示すものではなく、募集人の規模や業務特性に応じて、業務検証を行う責任者(他部署と兼務)を設置し検証を行うことで足りると理解してよいか。」

これに対する金融庁からの回答は次の通りである。「全ての保険募集人において、必ずしも独立した内部監査部門による監査が求められるものではありませんが、その場合にも、保険募集人の規模・特性に応じ、その態勢のあり方が十分に合理的で、かつ、実効性のあるものである必要があります。」

要は、「独立した組織は不要」とするものの、「十分に合理的で、かつ、実効性のあるもの」でなければならないのである。そして、それが具体的にどのようなものであるかは示されていない。代理店としては、まさにプリンシプルベースでの対応を余儀なくされることになる。従って、何も考えていないとか何もしていないというのは許されず、実情が弱々しいものであっても、対外的に「当社における内部監査態勢はこういう形になっている」と説明できるものをあらかじめ用意しておくことが必要といえるだろう。

 

規定やマニュアルを定め(Plan)、それに従って行動し(Do)、問題点を抽出した上で(Check)、それをベースに規定やマニュアルを修正する(Act)というPDCAサイクルに基づく動きが体制整備義務を果たす上で求められる。前回取り上げた「苦情」対応とともに「内部監査」はPDCAサイクルを回す上で大きな柱の位置付けを与えられているのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史