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保険の虫眼鏡(第17回)

 

改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応(その7)

 

「改正保険業法を踏まえた代理店のミニマム対応」というテーマでの7回目である。今回も前回に続き、2015年7月3日に公表された「金融モニタリングレポート」から話題を拾ってみよう。

 

このレポートで、金融庁は改正保険業法対応を中心に、課題を6項目に分けているが、そのうち「(カ)今後の課題」には、次のように記されている。

「改正保険業法への対応を含め、代理店自らが問題意識を持って、顧客意向に沿った商品提供が確保されるための態勢など、適切な保険募集管理態勢や顧客情報管理態勢を整備する必要がある。また、保険会社においては、乗合代理店における業務の実態を的確に把握し、管理・指導を向上させていく必要がある。その際、乗り合っている保険会社間の連携なども有効と考えられる。」

 前半は当然の課題として理解できるのだが、後半には「えっ!!」と感じる人も多いのではないだろうか。一つの乗合代理店があるとして、それが乗り合っている保険会社が連携しながらその乗合代理店を監督するよう勧めているのである。

 

 保険業法改正による乗合代理店に対する規制強化の背景は、「金融審議会・保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」が2013年6月7日に公表した報告書に記されている。ちなみに、この報告書こそが、今回の保険業法改正の基になっており、乗合代理店に関し、以下のように記されている。

「乗合代理店は、複数の保険会社から委託を受けて保険募集を行っている者であるが、顧客のニーズ等を踏まえて自らが取り扱う複数保険会社の商品の比較推奨販売を行うなど、保険会社からの管理・指導を前提としつつも、それに加えて自らの判断により独自の募集プロセスを構築しているものもある。そのため、当該募集活動の適切性を確保するためには、保険会社による管理・指導のみならず、乗合代理店自身が自身による体制整備を含めてより主体的に努力する必要がある。」

 この文章から読み取るべき内容を箇条書きにすると次のようになる。

①乗合代理店は、「顧客ニーズ」を踏まえて、比較推奨販売を行う。

②乗合代理店は、保険会社が手を出せない「独自の募集プロセス」をもつ。

③乗合代理店は、自分自身で体制整備義務を果たさなければならない。

 そして、この延長線上に「独自の募集プロセスをもつ乗合代理店に対する監督を保険会社に任せておくには限界があるから、金融庁が直接監督する必要がある。」という認識が見えてくるのである。しかし、すべての乗合代理店を監督するには数が多すぎる。そこで、まずは「規模の大きい特定保険募集人」から始めるというロジックになっている。

 

そうなると、それ以外の乗合代理店は、「苦情」等で問題を発見した場合に「一罰百戒」的に金融庁が処分するというようなことはあるだろうが、基本は、引き続き保険会社を通じた監督に委ねざるを得ない。その際、単独の保険会社では、乗合代理店の全体の姿が見えないから「乗り合っている保険会社間の連携」によって全体をしっかり監督するよう求めているである。 現状では、保険会社が連携しているという事実はないように思えるが、乗合代理店は、いずれこの方向に向かうことを覚悟すべきであるといってよいであろう。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史