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保険の虫眼鏡(第19回)

 

代理店不祥事件の際の着眼点

 

 改正保険業法が施行された。その結果、金融庁の検査を受けた代理店があるという話は、もしかするとあるのかもしれないが、私自身はまだ耳にしていない。ましてや改正保険業法に関連して行政処分を受けたという話も聞いていない。いずれもこれから始まる現実なのであろう。

そのような中、昨年末に100程度の代理店へのヒヤリングが実施された。「改正保険業法への対応状況」と「苦情・高齢者・電話による新規募集」に関し、金融庁が用意した質問をベースにやり取りが行われている。さらにその後、数店の地域の専業代理店を対象に金融庁の面談が行われた。この面談の主旨は、代理店が掲げる個別の経営理念を聴取した上で、金融庁として、顧客本位の経営がどのように行われているかを探るものであったようだ。前者がルールベース、後者がプリンシプルベースに基づくものと捉えれば、金融庁の行政スタンスが如実に表れている。

 いずれにしても、この間の金融庁と代理店のやり取りは、「緊迫」という言葉からは遠いところで行われたものというのが当事者であった大方の代理店の抱く印象であったのではないだろうか。

 

しかし、これからの現実は、そう甘くは進展しないであろう。少し前になるが、昨年の8月12日付で金融庁は監督指針を改正し、代理店不祥事における当局の対応を明確化している。

   http://www.fsa.go.jp/news/28/hoken/20160812-3.html

 

代理店における不祥事件については、保険業法上、保険会社に「不祥事件等届出書」の提出が義務付けられており、代理店自身が届出を行うわけではない。しかし、改正監督指針では、財務局の対応として次の点が明記されることになった。(以下、監督指針から抜粋)

 ①事実関係、発生原因分析、改善・対応策等について、必要に応じて、保険代理店に対してヒアリングを実施すること

 ②その結果を踏まえて、必要に応じて、保険代理店に対する行政処分(登録の取消、業務停止命令、業務改善命令)を行うこと

 

また、改正監督指針は、保険会社が不祥事代理店を検証する場合の着眼点に関して、次のように規定している。(以下、監督指針から抜粋)

(ア)当該事件に役員は関与していないか、組織的な関与は認められないか。

   また、経営者の責任の明確化が図られているか。

(イ)事実関係の真相究明、同様の問題が他の部門(保険代理店においては

   他の事務所等)で生じていないかのチェック及び監督者を含めた責任の

   追及が厳正に行われているか。

(ウ)事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが

       適時適切に行われているか。

   特に、発生原因が保険代理店固有の問題である場合は、保険代理店自身   

   において上記取組みが適時適切に行われているか。

(エ)内部牽制機能が適切に発揮されているか。

(オ)保険代理店内における、保険募集人に対する教育・管理・指導は十分か。

(カ)当該事件の発覚後の対応が適切か。

 

代理店は、不祥事発生時、上記の諸点が追及されることを覚悟しなければならない。ここにも代理店に体制整備義務が法定され、もはや保険会社に頼ることなく自立しなければならない現実を見て取ることができるのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史