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保険の虫眼鏡(第3回)

今、求められる大局観

 

 いよいよ、改正保険業法が施行された。代理店の仕事をしていると、様々な場面で「改定」という言葉に出会う。約款や料率の改定、規定やパンフレットの改定、事務・システムの改定というように。そして、代理店の立場からは、こうした「改定」について、保険会社からの連絡や指示に従って対応することが多い。そして、だからこそ、保険会社の連絡や指示が遅いとか、分かりにくいときには、「なにやってるんだ」という保険会社へのクレームにつながる。

法律の場合は、どのような「改定」であっても、必ず「改正」という言葉を使う。だから、国会での論戦などでは、これを逆手に取って「改悪」という言葉で法の改正を揶揄したりする。法改正であっても、こまごまとしたものは規定の改定のようなもので、これも保険会社の指示に従って対応すれば、どうということなく受け入れることができる。

 しかし、滅多にないことだが、時折、とんでもなく大きな法律改正が行われる。日々の仕事のやり方を少し変えるという程度ではとても追いつかない大変化が生じる。保険の歴史でいえば、1900年(明治33年)の保険業法制定、1939年(昭和14年)の保険業法の大改正、1948年(昭和23年)の保険募集の取締に関する法律(募取法)と損害保険料率算出団体に関する法律(料団法)の制定、1996年(平成8年)の保険業法改正がこれに該当する。

 1996年の保険業法改正は、当時の橋本龍太郎政権の下で大々的に推進された「金融ビッグバン」の一環で行われた。一言では「保険の自由化」と称されたが、この法律改正によって保険会社の経営は根本から変わることになった。護送船団行政といわれる業界保護から、「つぶれる会社はつぶれても構わない。」ということになった。商品や料率は各社の創意工夫に任された。生保と損保の相互参入も実施された。そして、保険会社が中心にいる大きな渦が生じ、代理店もこれに巻き込まれていった。

 今回の保険業法改正は、これに続く大変化を生み出すものだ。しかも、今回は代理店が渦の中心にいる変化だ。主体は保険会社ではなく代理店であり、究極のところで保険会社にはほとんど何も頼ることはできない。意向把握や態勢整備についてテクニカルにどう対応するかということの前に、まずは、今、代理店が大きな歴史の転換点にいるという大局観を持つことが望まれるのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

栗山 泰史