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保険の虫眼鏡(第65回)

 

「企業代理店意見交換会」開催のオープンセミナー

 

 12月13日のことだ。「企業代理店意見交換会」の主催するオープンセミナーが麹町駅近くのホテルで開催された。このセミナーは今回で10回目を迎え、毎回、掲げられているのが「企業代理店を結ぶ 和して同ぜず ベクトルを揃える」という共通スローガンである。このスローガンは、この会の基本的枠組みをうまく表現しており、企業代理店の特徴に鑑みれば、なるほどと納得できるものだ。

 企業代理店の特徴をみてみよう。企業代理店の多くは、まずはグループ会社の一員であるから親会社との関係に配慮しなければならない。そして、親会社が友好な関係にある保険会社との関係にも配慮しなければならない。同じ業界であれば親会社同士は競合関係にあるから、代理店としても互いにあまり親しくはなりにくい。それ以前の問題として、そもそも、多くがグループ内の管財物件と職域契約を基盤にしているから代理店同士の関係をよくも悪しくも気に留める必要がない。結果的に、企業代理店は横の連携に無関心なままでいた。

 

 ところが、保険業法の改正によって体制整備義務等の法定の義務が生じた。これに伴い、金融庁の動向をつぶさにウオッチした上で適切に対応することが必要になった。しかし、ほとんどの場合、親会社は「金融庁の検査・監督」の「怖さ」はそれとなく知ってはいても、具体的に何が行われているかは知らない。ましてやどう対応すべきかについては皆目わからない。

 保険会社に頼るという道もある。しかし、個人やそれに近い小さな代理店であれば全面的に依存することも可能だが、一定の規模を有する企業代理店ともなればそうはいかない。ましてや金融庁の直接監督下に入る「規模の大きい代理店」に該当すれば、もはや、保険会社に頼るということはあり得ない。そこで、企業代理店としては親会社や保険会社に頼ることなく、自らこの問題に立ち向かうことが求められることになった。

 

 しかし、単独では心もとない。そもそも、企業代理店における大きな特徴として、顧客を巡る互いの競合がほとんどない点を挙げることができる。つまり、本音での悩みをぶつけやすい基盤がある。そこで、「同じ課題と悩みを持つ企業代理店同士の横の連携ができないか」という発想で生まれたのが「企業代理店意見交換会」である。そして、そのスローガンが「企業代理店を結ぶ 和して同ぜず ベクトルを揃える」である。現状では任意団体であるが、会の成り立ちと狙いをうまく言い表したスローガンと感じる。

 

 業種を超えた企業代理店の情報や意見の交流を行う場として、「企業代理店意見交換会」は少しずつではあるが、着実に歩を進めている。オープンセミナーはその一つであり、ついに今回で10回を数えることになった。今回のテーマは、以下の通りである。ちなみに、参加者数は毎回100名に近い。

 第一部 「デジタル革命の進展下、企業代理店のデジタル戦略はいかにあるべきか!」パネルディスカッション(コーディネーター:栗山)

 

 第二部 「保険代理店検査ケーススタディ~あなたが検査官ならどこを見ますか?~」とのグループ討議(コーディネーター:のぞみ総合法律事務所 川西拓人弁護士 吉田桂公弁護士)

そして、第二部のまとめとして、「金融行政当局の視点~『関東財務局による代理店との対話(ヒヤリング)』をベースに」と題する日本代協専務理事、野元敏昭氏の講演で締めくくられた。

 

 日本代協コンベンションやRINGの会オープンセミナーに比べれば、セミナーとしての質と量の双方において多くの課題があるが、これに参加する企業代理店一つ一つの力と存在感は非常に大きい。今後の活動の拡大と深化が大いに期待されるのである。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

アイエスネットワーク シニアフェロー

栗山 泰史