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保険の虫眼鏡(第71回)

 

保険代理店にとってのウイズコロナ

 

コロナ禍によって世界は大きく変わるといわれています。中でも大きく進展するのがデジタル化です。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、「この2カ月で2年間分のデジタルシフトが進んだ」といいます。(日経新聞5月20日朝刊)

デジタル革命(デジタル・トランスフォーメーション : DX)はコロナ禍の前から世界中で進んでいました。そして、その中で日本は、アメリカにも、欧州にも、中国にも、韓国にも大きな後れを取っていました。経済産業省が『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を公表したのは2018年9月です。この「警告」が「刺さった」企業がわが国にどれだけいたでしょうか。「2025年の崖」の克服はもとより、例えばテレワークを見た場合、アメリカではコロナ禍の以前に7割が導入していたのに対し、わが国では2割に留まっていたといわれています。

しかし、今、ついにわが国にもデジタル化の大波がやって来ました。コロナ禍が大きな起爆剤となったからです。これからデジタル化に関して、色々なことが弾けるように生じることでしょう。まずは、アフターコロナの前にウイズコロナを乗り越えなければなりません。ワクチンや治療薬が開発されれば状況は大きく変わりますが、それまでは、二次、三次の感染拡大を想定した「ニューノーマル」への対応が必要になります。

 

保険代理店の場合、どのような動きが生じているでしょうか。日本創倫(株)という保険代理店の内部監査を受託する会社が、5月末に行ったアンケート調査があります。45社から回答があり、以下のような結果が得られています。

 

Q.今回のコロナ騒動で、貴社の従業員の働き⽅に変化はありましたか︖

 

 

Q.現在実施している働き⽅に関し、下記より当てはまるものを教えてください

 

 

ウイズコロナを想定した場合、やはり、テレワークの導入が大きなウエイトを占めています。足元のところでは、これこそが最重要の課題です。このアンケートでは、どの程度スムーズに導入できたか、コストはどうなっているか、生産性の低下は生じていないか、セキュリティ対策はどうなっているか、職務規定や人事制度の改定はどうなっているか等の問題点や課題までは見えてきません。しかし、実際には、多くの問題点や課題、経営者や従業員の悩みが生じているものと思われます。

 

お客さま対応に関しては、電話募集を86.7%が行っているのに対し、Webでの保険募集は11.1%に留まっています。保険会社は、コロナをきっかけに非対面募集を解禁する方向にあります。現在のルールはまだまだ限定的なものですが、これを最大限に活用すれば、従業員を含めて代理店全体が非対面募集に慣れるきっかけになります。

また、やってみれば必ず色々な問題点が生じて、当面のルールの限界が見えてきます。それを保険会社にぶつけることで、保険会社のルールが大きく改善され、場合によっては、非対面募集に関し、保険会社からの新たな支援策の導入につながるかもしれません。

契約者にデジタル面談等を体験してもらえることにも大きな意味があります。消費者の中には、必ず非対面募集に魅力を感じる人がいるはずです。そうした層との付き合い方を変えることは、将来的な業務の効率化への大きな布石になるはずです。

保険代理店にとっては、このようなウイズコロナの活動を通じて、その先にアフターコロナを見据えることで、デジタル革命の波にうまく乗っていくことが大切であると考えています。

 

日本損害保険代理業協会アドバイザー

アイエスネットワーク シニアフェロー

栗山 泰史